採用コラム
Column障害者グループホームの種類と利用方法とは?
「障がい者グループホーム」は、「障害者総合支援法」が定める「共同生活援助」という福祉サービス制度に基づいて実施・運営されています。このサービスは、障がいのある方が地域住民との交流が確保される環境で、家庭的な雰囲気のもと、共同生活を営むための住居と支援の場を提供するものです。
障害福祉サービスは、大きく分けて介護を中心とする「介護給付」と、生活訓練などを中心とする「訓練等給付」の二つがあり、共同生活援助はこのうちの訓練等給付に位置づけられます。訓練等給付で提供される生活支援サービスには、夜間や休日などに共同生活の住居で相談、入浴、排泄、食事の介護、日常生活上の支援を行う共同生活援助と、単身生活者に定期的な訪問などで支援を行う自立生活援助の2種類がありますが、障がい者グループホームは前者の制度を指します。
障がい者グループホームの利用者としては、単身生活に不安がある方、一定の介護を必要とするが施設ではなく地域で暮らしたい方、施設退所後に地域生活へ移行する準備として利用したい方などが想定されています。
原則として18歳以上の障がいのある方が利用できますが、15歳以上の障がい児も児童相談所長が必要性を認めた場合に利用可能です。共同生活援助の利用にあたっては、障がい支援区分の等級は問われませんが、支援区分によってグループホームに配置される世話人や支援員の配置基準が変わるため、区分の判定を受けることが必要とされています。
障がい者グループホームの4つの種類と特徴
障がい者グループホームは、提供されるサービス内容に応じて以下の4つのタイプに分けられ、利用者の支援ニーズに合わせて選択できます。
1. 介護サービス包括型
・サービス内容:主に夜間や休日に、グループホームの職員がサービスを提供します。入浴、排泄、食事などの介助や、調理、洗濯、掃除などの家事援助、日常生活上の相談など、幅広い支援を行います。利用者は日中、就労継続支援事業所などに通うことが一般的です。
・主な対象:障がい支援区分が「4」「5」「6」など、比較的重度の介護を必要とする方が利用する傾向があります。
2. 外部サービス利用型
・サービス内容:介護サービス包括型と同様に、主に夜間や休日にサービスが提供されます。家事や日常生活上の相談はグループホームの職員が行いますが、食事や入浴、排泄などの身体介護は、外部の居宅介護事業所に委託して行われる点が特徴です。
・主な対象:障がい支援区分が「1」「2」「3」など、比較的軽度の障がいがある方が利用する傾向があります。
3. 日中サービス支援型
・サービス内容:2018年に制度化された新しいタイプで、日中や夜間を含めて常時支援を必要とする方が利用できます。重度の障がいのある方や、障がいのある高齢者など、手厚い支援が必要な方を主な対象としており、世話人や支援員が厚く配置されています。
4. サテライト型
・サービス内容:グループホーム(本体)の近くにあるアパートやマンションなどで一人暮らしをしながら、必要に応じて本体施設からの支援を受けられるサービスです。
・主な対象:グループホームを出て単身生活を目指す中・軽度の障がいのある方が利用します。
・利用期間:原則として2年間に制限されています。
障がい者グループホーム(共同生活援助)の利用手続き
障がい者グループホームを利用するには、障がい福祉サービスの「共同生活援助」を受給するための手続きが必要です。
受給対象と更新
身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、難病患者などが受給対象となります。身体障がい者の場合、65歳未満の方、または65歳になる日の前日までに障がい福祉サービス等の利用経験がある方に限られます。利用できる年齢の上限は定められていませんが、サービスの継続には3年ごとの更新が必要です。
利用開始までの流れ
1. 事業所の検索・決定:お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で紹介を受けたり、インターネットで探したりして、希望するグループホーム事業所を決定します。
2. 利用申請と認定調査:利用したい事業所が決まったら、お住まいの市区町村の障害福祉課に利用を申請します。申請後、窓口担当者による聞き取り調査と、共同生活援助のサービス支給認定のための会議を経て支給が決定されます。
3. サービス等利用計画案の提出:支給決定には、利用者のサービス利用意向を盛り込んだサービス等利用計画案の提出が必要です。これは、一般的に指定特定相談支援事業者が作成しますが、自分で作成することも可能です。
4. 受給者証の発行と契約:支給が正式に決定すると、障害福祉サービスを受けるための許可証である「障害福祉サービス受給者証」(障害者手帳とは別物)が発行されます。受給者証を事業所に持参し、契約手続きを行うことで利用開始となります。受給者証には期限があるため、定期的な更新を忘れないよう注意が必要です。
障がい者グループホーム(共同生活援助)にかかる費用
共同生活援助の利用料は、利用者や配偶者の前年度の所得に応じて変わり、サービス費用の1割負担が原則ですが、所得区分に応じて負担上限月額が定められています。
世帯の区分
・生活保護受給世帯:0円
・市町村民税非課税世帯:0円
・市町村民税課税世帯(所得割16万円未満):9,300円
・上記以外:37,200円
※市町村民税課税世帯でも、入所施設利用者(20歳以上)やグループホーム利用者(20歳以上)の場合、「上記以外」の区分が適用されることがあります。
さらに、住民税が非課税となるなど収入の少ない方には、国から毎月1万円ほどの家賃の補助が提供されます。自治体によっては、国からの補助とは別に、独自の家賃補助を行っている場合もあるため、利用前に地域の福祉担当窓口に確認することが推奨されます。
まとめ
障がい者グループホーム(共同生活援助)は、単身生活に不安がある方や、必要な支援を受けながら地域社会で共同生活を送りたい方にとって、多様な選択肢を提供する重要な支援制度です。利用者のニーズに合った支援サービスを見つけるためには、提供されるサービス内容や事業所の特色が異なるため、事前に複数の事業所を見学・検討し、希望するライフスタイルに合った支援を選ぶことが大切です。