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Column障害手当金の受給方法
障害手当金は障害年金制度に含まれた一時的な支給制度となります。障害手当金は障害になったからといって役所などから障害年金の案内が送られてくるわけではないため、自身で請求手続きを進めなければなりません。制度を知らなかったり、受給方法がわからず請求を行わなければ、受給要件を満たしていても手当を受けることはできません。 そこで、本記事では障害手当の受給方法について紹介していきます。
障害手当金は重要な社会保障のひとつ
障害手当金は、厚生年金保険制度に設けられた公的年金給付の一つです。公的年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類があり、障害手当金はこのうちの障害年金制度に含まれています。
障害年金は、病気やケガによって障害を負った場合の生活を支えるための制度です。障害の程度に応じて障害基礎年金は1級~2級、障害厚生年金は1級~3級までが定められています。
障害手当金は、これらの等級よりも障害の程度が低いと判断された場合に、継続的な年金とは異なり、一時金として支給されるものです。傷病が治ったものの、働くことに制限を受ける場合に支給される、私たちにとって身近な社会保障といえます。
障害手当金を受給する上で必要な4つの要件
障害手当金を受給するためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
① 厚生年金に加入している間に初診日があること
厚生年金保険の制度であるため、病気やケガの原因となった傷病の初診日において、厚生年金に加入していることが必須です。
② 初診日から5年以内に症状が完治しているまたは、医療効果がみられない状態であること
原因となった病気やケガが完治、または症状が固定していることが条件です。「傷病が治った」とは、医学的な治癒だけでなく、これ以上治療の効果が見込めない状態も含まれます。
③ 治ったと判断される日に障害年金を受給する等級よりも症状が軽度であること
傷病が「治った日」において、障害の状態が障害厚生年金3級に満たない軽度なものである必要があります。
④ 厚生年金保険料の納付要件を満たしていること
初診日の前日において、保険料の未納期間に関する一定の要件を満たしていることが必要です。
以上の4つを満たすことで、原則として支給対象となります。障害の状態は主に日常生活の支障度合いで判断され、病気やケガで働きづらくなった場合の経済的な支えとなる、世代を問わない社会保障です。
障害年金の3つの請求方法
障害手当金には専用の申請用紙がなく、障害厚生年金を請求した結果、等級に該当しないと判断された場合に支給されます。そのため、障害年金の請求方法を知っておく必要があります。主な請求方法は以下の3つです。
- 認定日請求
- 障害認定日の遡及請求
- 事後重症請求
初診日から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)に行う基本的な請求方法です。障害認定日の翌月分から年金が受給できます。
障害認定日時点では請求せず、後から遡って請求する方法です。時効により、最大で過去5年分の年金を受け取ることが可能です。
障害認定日には等級に該当しなかったものの、その後症状が悪化し、65歳になるまでに障害の状態になった場合に行う請求です。請求日の翌月分から年金が支給されます。
障害手当金は、初診日から5年以内に傷病が治った方が対象となり、治った日から5年以内に請求する必要があります。そのため、「遡及請求」か「事後重症請求」の方法で申請することになります。
手続きの方法
請求手続きの窓口は、初診日に加入していた年金制度によって異なります。国民年金の場合は市区町村役場、厚生年金の場合は年金事務所または年金相談センターです。窓口で書類が受け付けられた後、実際の審査・決定は、日本年金機構から委託された認定医が行います。
請求に必要な書類
請求には、主に以下の書類が必要です。個人の状況によって追加の書類が必要になる場合があるため、事前に窓口へ確認するとスムーズです。
- 障害年金の年金請求書
- 受診状況等証明書
- 診断書
- 病歴・就労状況等申立書
- その他の書類
初診日に加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)によって様式が異なります。
初診日を証明するための書類で、初診の医療機関で作成を依頼します。診断書を作成する医療機関と初診の医療機関が同じ場合は不要です。
障害の部位によって8種類の様式があります。等級決定に最も影響する重要な書類であり、ご自身の日常生活の状態などを正確に医師に伝えることが重要です。
発症してから現在までの経過(治療内容や日常生活の状況など)を本人が記述する書類です。診断書との整合性が取れているかどうかがポイントになります。
住民票や戸籍謄本、障害者手帳のコピーなど、個人の状況に応じて必要な書類があります。
申請から受給決定までにかかる時間
書類を提出してから受給が決定するまでには、およそ3ヶ月程度かかりますが、審査内容によっては半年程度かかる場合もあります。受給が決定すると「年金証書」が届き、その後1~2ヶ月程度で初回の振込が行われます。
障害手当金を受け取る際の注意点
障害手当金には請求期限があります。症状が治った(症状固定した)日から5年以内に請求しないと、時効によって受給する権利がなくなってしまいます。制度を知らなかったという方も、ご自身が対象かもしれないと感じたら、権利があるうちに手続きを進めることが何よりも重要です。
まとめ
障害手当金は、障害年金の審査を経て支給が決定されます。提出する診断書の内容によっては、一時金である障害手当金ではなく、継続的な障害年金3級以上が受給できる可能性もあります。審査で最も重要視される診断書を作成してもらう際には、ご自身の症状や日常生活の状態を正確に医師に伝えましょう。
そして、障害手当金は症状が固定してから5年以内に請求しなければ受給権を失ってしまいます。対象となる可能性がある方は、本記事を参考に、お早めに請求手続きを進めることをお勧めします。